本学会は、Learning Analyticsに関する
調査・研究・普及啓蒙を目的としています

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インストラクショナルデザインの基礎コース-研修の企画と改善

レポート:学習分析学会 理事 北川周子

直前の台風のため移動困難になった方、急性の病欠者、計2名の不参加者が出ましたが、総勢13名の方に参加いただきました。本セミナーのレポートは事務局を務めました理事の北川が作成いたしました。

研修のプロが参加するセミナー 開始早々のオリエンテーションでは各自の自己紹介を行った。参加者は話をすることに長けた人が多い。さすが “研修のプロ”である。今回の参加者は教育ベンダーの方や所属先で社内研修をしている方が多いので、話すことに慣れているようだ。 論理的思考力の発動なしにIDは学べない 午前の演習として“研修の実施目的”等2つの演習を行った。演習結果の発表後、「論理的に整理された内容ではない。思いつきや雑談を発表しただけ。感情や人の気持ちを汲むだけでは効果的な研修は開発できない。今日明日と学ぶ“インストラクショナルデザイン(以下IDという)”は社会科学である。社会科学は論理で構成される。もっと論理的に検討するように」と講師からの檄が飛ぶ。さらに、「論理的思考力が使えなければ、IDを学んでも使いこなすことは出来ない!」とも言い放たれ、場の空気がピリピリし、受講者は静まり返る。 その後、座学でADDIEモデル、学習目標、学習成果、コンテキスト分析、学習者分析、前提条件、評価、9教授事象、ARCSモデルについて学習する。盛りだくさんの内容を受講者は果たして理解できているのだろうか? 事務局として少し心配になる。 聴くだけでは身につかない、体感して初めてわかるID 午後は午前の講義を一つ一つ体感するグループワークが進行。各グループは制限時間内にグループワークを終了させられない。グループワークについてのやり方について講師から指摘がはいる。「“研修のプロ”であるにも関わらず、なぜグループワークができないのですか?皆さんは皆さん自身が講師を務める研修で、グループ討議の仕方を指示しているはず。自分たちが指示していように生産性の高いグループ討議を実施してください。演習に必要な時間は過去何度も実施して十分に検証済みです」と指摘され、午前とともに静まる受講者である。だが、非常に素直な受講者は次のグループワークでは見違えるように生産性の高いワークを進めていた。午前中のグループワークは緊張していたのか、他の受講者に気を遣っていたのかもしれない。 グループワークを重ねていく毎に、グループのアイデアをまとめ、各グループの特徴を活かしたやり方でうまく進めていた。ホワイトボードや壁を使用し、ディスカッションにも熱がはいり、午後のワークは活気づいていた。 実践のポイントを掴もうと白熱する総合演習 2日目の朝、前日に出された宿題を手に参加。宿題を元にディスカッションしながら1時間のワークを実施。発表の際には他のグループから質問も多く、白熱したディスカッションが繰り広げられた。ディスカッションを聞いていると、各受講者がIDの理解を深めていることを感じた。また、「早く会社に戻って、今作成している研修を見直ししたいです!」という声もあったことは、開催した目的を果たせたと感じる。 長時間に渡る2日間の研修だったが、1日目よりも2日目の受講者の熱量が増えていたことはうれしい限りである。受講者のみなさんが、会社にIDを持ち帰り、IDを活用した研修を設計、実施できることを期待しています。

以上

開催日 2017年08月08日(火) 9:45~17:30
開催概要 研修を設計し、教材やツールを開発し、それをインストラクションするという研修の全業務を担う人材育成担当者は、まず存在しません。それが実情であれば、大学院で身につけるような深い専門知識を習得する必要性は低いと考えられます。必要な能力は、研修企画者&発注者として、理論や事実を基に企画し、指示を行い、専門家からの提案や研修の問題点を合理性を持って検討し、改善アイデアなどを提示する知識や技術です。
 本コースは、ID理論の本質的な考え方や鍵を握る事項を掴み、それを実践に適用するスキルの強化に注力して進めます。コース初日は、講義と小演習、全体演習を通してID理論の基本原則を掴みます。2日目は、2つのケース演習(研修開発の事例演習&研修改善の事例演習)を行い、研修企画や改善をすすめるための実践力を強化します。
【開催日時】
 1日目:2017年8月8日(火) 9:45-17:30 (開場9:20)
 2日目:2017年8月9日(水) 9:30-16:00 (開場9:10)

【学習項目】
<1日目:ID理論の基本知識>
 1.パフォーマンス向上と研修(研修の効用と限界)
   研修の実施目的
   パフォーマンスの低減要因

 2.インストラクショナルデザイン(ID)の概要
   IDの定義と研修設計のシステムアプローチモデル(ADDIEモデル)
   研修設計&開発の全体概念モデル
   ニーズ分析・特定
   学習目標の明確化の3要素
   学習成果の分類(タキソノミー)
   学習者・コンテキスト分析・前提条件
   評価(学習目標到達の保証:事後評価テスト、評価の種類)
   学習項目の構造化(学習内容の洗出し)
   学習目標の系列化(学習の順序)(学習時間の見積り)
   指導方略(手段・展開・環境/ガニェの9教授事象)
   学習モチベーション(ARCSモデル)

<2日目:IDの実践力強化>
 3.総合演習(ID理論の活用実践力の強化)
   1)研修企画演習:「研修企画概要書」を用いてIDの観点から研修を企画する
     「神戸支店を蘇らせろ 会議の活性化施策」
   2)研修改善演習:「IDチェックシート」を用いてIDの観点から研修の問題点を探る
     「8割の参加者が意識を失う データリテラシー講座」

【参考書籍】
 「教材設計マニュアル-独学を支援するために」 鈴木克明著 北大路書房

【写真等記録情報の使用許諾のお願い】
 小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
 小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。
学習目標 1.与えられた事例に対して、「研修企画概要書」を用いてID理論に則り、最適な研修を企画できるようになる(知的技能)。
2.与えられた事例に対して、「IDチェックシート」を用いてID理論に則り、合理的な改善点や改善策を整理できるようになる(知的技能)。
3.学んだID理論を自分が企画する研修に活用したくなる(態度)。
参加対象者 本コースは、以下に示す業務経験ならびに業務権限を有した人材育成従事者を想定して開発されています。
以下の条件を参加の前提条件とします。

■担当する研修を持ち、自分の意思で研修の改訂活動が行える権限を有してる。
■教育ベンダーや担当講師に研修の内容や方法に関する指示や依頼、打合せなどを自身の業務として行っている。
■研修開発を実施した経験を有している。 ※集合研修の開発経験ならば、さらに良い。
講師 NPO法人学習分析学会 副理事長 堤宇一氏
会場 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S3会議室
千代田区神田小川町3-22-14
https://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html
定員 15名
※最低催行人数:4名。 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。 予めご了承ください。
参加費 ■会員:45,000(税込)   ■非会員:50,000(税込)
■再受講(会員&非会員):10,000(税込)
 ※再受講とは、「繰り返し学習」を支援するための制度です。以前受講したセミナーを、さらなる理解を目的に繰り返し受講することをさします。
 ※再受講参加者は、ティーチングアシスタントとして、初学者の参加者の学習サポートにご協力ください。他者の学習をサポートすることで、より深い学びを実現する事ができます。
 ※再受講希望の方は、申込フォームのコメント欄に「再受講」とご入力ください。
支払い方法と領収書発行 ■支払方法:当日会場受付時での現金支払を原則とします。
■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申込みフォームの領収書欄に「領収書の宛名」をご入力ください。入力いただいた“お名前”で領収書をご用意いたします。
キャンセルについて 申込後のキャンセルは、早めにご連絡ください。キャンセル規定は以下のとおりです。
開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。なお、キャンセル料に関しては、後日請求となります。
 ・開催5日前~3日前のキャンセル料は、参加料の50%
 ・開催2日前~当日のキャンセル料は、参加料の100%
 ・連絡なしの不参加は、参加料の100%