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インストラクショナルデザインの基礎コース-研修の企画と改善

  インフルエンザ猛威の真最中の2月に、小会定番セミナー「IDの基礎-研修の企画と改善」を開催いたしました。残念ながら1名の方がインフルエンザに倒れてしまいましたが、7名の参加者をお迎えしてセミナーを開催いたしました。本セミナーの企画開発&インストラクションを務めました堤が活動内容をレポートさせていただきます。

活動レポート:学習分析学会 副理事長 堤宇一

業務に直結する能力開発の専従者が参加

本セミナーを立ち上げた当初、参加メンバーの属性内訳は、企業の人材育成担当者55%、研修会社のコンテンツ開発者&営業担当者が35%、高等教育に関わる実践者&研究者10%という割合でした。
しかし、昨今の参加メンバーの属性内訳が様変わりしています。
最も多い方々は研修会社のコンテンツ開発者&営業担当者で約80%になっています。企業の人材開発担当者の方の割合は20%です。ただ企業の人材育成担当であっても所属部署が変わってきています。従来は、人事部や総務部に所属し階層別研修などの義務教育的なものを受持つも方々でした。しかし昨今、営業部門の人材育成や品質管理部門でプロダクトの品質やスタッフ育成を範囲とする方々に代わってきています。換言すれば、業務成果や業務そのものに直結する能力開発を責としている方々の参加が近年の特長です。「人材育成活動は企業の投資活動である」という認識を強く持つ方々が参加してくださっています。
今回も研修会社の開発担当&企画営業担当者6名、企業の品質管理部門責任者1名という内訳でした。

 

初日は、ID理論を愚直に適用

初日はIDのイロハを学び、その理論を簡単な事例に一つ一つ適用しながら架空の勉強会の設計書を組み立てます。「何処を学習ゴールにするか」「教えるべき事項は」「教える順番や方法は」といった研修開発の要をグループで討議し、整理します。愚直に、そして徹底的にID理論と適用方法を体験を通じて学びます。
「今まで自分が行っていたのは研修開発ではなかった・・・、クライアントと講師のマッチングでしかなかった」「こんなところまで考え、詳細化しないと研修をデザインしているとはいえないのか・・・」といった自分自身の今までのやり方を反省する受講者。
「意識していなかったが、多少の抜けはあるものの自分のやり方が理論的に正しかったことが確認できた」などご自身の進め方の正しさに納得する受講者。さまざまな感想が聞こえてきました。
どちらの受講者にも共通する感想は「こんなに一生懸命考え、悩んで研修を設計した経験は初めて。とっても疲れた!」です。

 

二日目は、ID理論を現実の場に適用

二日目は、初日に徹底的に学んだIDを実際の場面に適用するための考え方やコツをつかむことを目指し、二つのケースについての演習を行います。一つは、問題を抱えたある支店を活性化させるために研修開催が検討される事例です。果たして何を解決課題として設定し、研修が目指すゴールと解決範囲を何処に設定するのが妥当かを検討し、具体的な研修を設計していきます。各グループが設計した研修をプレゼンし、相手グループからそれに対するフィードバックをもらいます。具体的なフィードバックポイントは「設定された学習ゴールの妥当性」「研修がカバーする責任範囲の妥当性」「研修の効果期待性」「ID理論の適用具合」などです。企業では研修実施が目的ではありません。解決したい課題を解決することが目的で、そのソリューション方法として研修が選ばれたにしか過ぎません。解決課題と研修が結びつけ、課題に有効に働く研修をデザインするためのポイントを掴んでいただきます。

もう一つの演習は、問題のある研修をIDの観点からチェックする事例です。不具合発生原因を探し出し、適切で有効な対策を検討していきます。IDをよりどころに研修の評価を行うと思いもよらぬところに原因が潜んでいることに気付けます。講師のインストラクションの巧拙以外に研修品質に影響を与える要因を合理的に発見し改善策の立案のポイントを掴んでいただきます。

 

良い研修が沢山リリースされ、悪質な研修が淘汰される世界

世の中には、「講師の経験を伝えるだけの研修」「講師が役者のように振舞う芝居のような研修」「キチンと知識やスキルを習得できるよう設計された研修」「楽しくて盛り上がる研修」など様々なタイプの研修で溢れています。企業が自分達の抱える課題を解決するために研修という手段を用いるなら、課題解決に紐付、有効性の高い学習活動で組み立てられた研修を選択すべきと筆者は考えます。
本セミナーにはプロたちが参加し学んでいます。専門性を有したプロが“本物の良い研修”をドンドンリリースしている世界を実現するために、本セミナーの開催を続けていこうと思います。

以上

開催日 2018年02月15日(木) 9:45~18:00
開催概要  研修を設計し、教材やツールを開発し、それをインストラクションするという研修の全業務を担う人材育成担当者は、まず存在しません。それが実情であれば、大学院で身につけるような深い専門知識を習得する必要性は低いと考えられます。必要な能力は、研修企画者&発注者として、理論や事実を基に企画し、指示を行い、専門家からの提案や研修の問題点を合理性を持って検討し、改善アイデアなどを提示する知識や技術です。
 本コースは、ID理論の本質的な考え方や鍵を握る事項を掴み、それを実践に適用するスキルの強化に注力して進めます。コース初日は、講義と小演習、全体演習を通してID理論の基本原則を掴みます。2日目は、2つのケース演習(研修開発の事例演習&研修改善の事例演習)を行い、研修企画や改善をすすめるための実践力を強化します。
【開催日時】
 1日目:2018年2月15日(木) 9:45-18:00 (開場9:10)
 2日目:2018年2月16日(金) 9:30-16:30 (開場9:10)

【学習項目】
<1日目:ID理論の基本知識>
 1.パフォーマンス向上と研修(研修の効用と限界)
   研修の実施目的
   パフォーマンスの低減要因

 2.インストラクショナルデザイン(ID)の概要
   IDの定義と研修設計のシステムアプローチモデル(ADDIEモデル)
   研修設計&開発の全体概念モデル
   ニーズ分析・特定
   学習目標の明確化の3要素
   学習成果の分類(タキソノミー)
   学習者・コンテキスト分析・前提条件
   評価(学習目標到達の保証:事後評価テスト、評価の種類)
   学習項目の構造化(学習内容の洗出し)
   学習目標の系列化(学習の順序)(学習時間の見積り)
   指導方略(手段・展開・環境/ガニェの9教授事象)
   学習モチベーション(ARCSモデル)

<2日目:IDの実践力強化>
 3.総合演習(ID理論の活用実践力の強化)
   1)研修企画演習:「研修企画概要書」を用いてIDの観点から研修を企画する
     「神戸支店を蘇らせろ 会議の活性化施策」
   2)研修改善演習:「IDチェックシート」を用いてIDの観点から研修の問題点を探る
     「8割の参加者が意識を失う データリテラシー講座」

【参考書籍】
 「教材設計マニュアル-独学を支援するために」 鈴木克明著 北大路書房

【申込受付の締切】
■受付終了:2018年2月8日(月)14:00
 ※ただし、申込人数が定員数に達した場合は、受付終了日時を待たずに受付を締め切ります。

【写真等記録情報の使用許諾のお願い】
 小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
 小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。
学習目標 1.与えられた事例に対して、「研修企画概要書」を用いてID理論に則り、最適な研修を企画できるようになる(知的技能)。
2.与えられた事例に対して、「IDチェックシート」を用いてID理論に則り、合理的な改善点や改善策を整理できるようになる(知的技能)。
3.学んだID理論を自分が企画する研修に活用したくなる(態度)。
参加対象者 本コースは、以下に示す業務経験ならびに業務権限を有した人材育成従事者を想定して開発されています。
以下の条件を参加の前提条件とします。

■担当する研修を持ち、自分の意思で研修の改訂活動が行える権限を有してる。
■教育ベンダーや担当講師に研修の内容や方法に関する指示や依頼、打合せなどを自身の業務として行っている。
■研修開発を実施した経験を有している。 ※集合研修の開発経験ならば、さらに良い。
講師 NPO法人学習分析学会 副理事長 堤宇一氏
会場 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S4会議室
千代田区神田小川町3-22-14
https://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html
定員 15名
※最低催行人数:4名。 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。 予めご了承ください。
参加費 ■会員:45,000(税込)   ■非会員:50,000(税込)
■再受講(会員&非会員):10,000(税込)
 ※再受講とは、「繰り返し学習」を支援するための制度です。以前受講したセミナーを、さらなる理解を目的に繰り返し受講することをさします。
 ※再受講参加者は、ティーチングアシスタントとして、初学者の参加者の学習サポートにご協力ください。他者の学習をサポートすることで、より深い学びを実現する事ができます。
 ※再受講希望の方は、申込フォームのコメント欄に「再受講」とご入力ください。
支払い方法と領収書発行 ■支払方法:当日会場受付時での現金支払を原則とします。
■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申込みフォームの領収書欄に「領収書の宛名」をご入力ください。入力いただいた“お名前”で領収書をご用意いたします。
キャンセルについて 申込後のキャンセルは、早めにご連絡ください。キャンセル規定は以下のとおりです。
開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。なお、キャンセル料に関しては、後日請求となります。
 ・開催5日前~3日前のキャンセル料は、参加料の50%
 ・開催2日前~当日のキャンセル料は、参加料の100%
 ・連絡なしの不参加は、参加料の100%