教育効果測定のための「自由記述式アンケートの設計&分析」コース (開催終了)
こんにちは、堤宇一@学習分析学会です。「教育効果測定のための自由記述式アンケートの設計と分析」セミナーを11月17日&18日に開催いたしました。
本セミナーの企画&講師を担当する堤が、活動報告をレポートさせていただきます。
1)教育効果測定活動の悲しき実態
本セミナーは、筆者が教育効果測定コンサルテーションで多々遭遇する問題を改善したいという思いから実施しています。
お陰さまで、様々な組織から教育効果測定に関するご相談を頂戴します。ご相談いただいた際に必ずお尋ねし、現物があればお見せいただくのが調査方法や調査ツールです。100%に近い確率で研修の満足度アンケート(レベル1)が実施されています。
しかし残念ながら、アンケートの構造や質問文、分析方法(評価基準含む)は、調査活動として満たすべき条件を備えていません。条件を満たしたツールに出会うことは殆どありません。スキルの習熟度を把握したいのに、知識確認テストを実施している組織が山ほどあります。教育効果測定の実態は、調査としての基準やクオリティを満たさない間違いだらけの方法で、いい加減なツールで、実施&分析が行われています。筆者が教育効果測定に取り組みはじめ10年超が経ち、世間では教育効果測定という言葉が定着しているにも関わらず、悲しい実態がそこに存在します。
2)調査活動の各工程での留意点と実効のコツ掴む
調査活動の一部分(質問の作り方や分析スキルといったパーツ)を教えてくれるセミナーは、探せばあるのですが。「調査目的を明確化し、測定対象(構成概念)を定義する。そして狙いに合った質問文を作成し、データを収集する。データ分析基準を作り、データの分析&解釈を行い、結論をまとめ、報告するまでの工程」調査活動の頭からお尻までの全体を扱ったセミナーは殆どないと感じています。本セミナーは、全ての工程を一気通貫で学ぶ設計にしています。
本セミナーは、データ収集活動やレポート作成の工程は時間の都合で扱いませんが、調査活動の各工程をケース演習で進め、何度も何度も練習していただくシミュレーション構造になっています。この仕掛けにより各工程での重要ポイントや実施上の注意点を理解できるのです。しかしこの構造は、参加者への学習負荷を大きくし、頭をフル回転させることを要求します。その様な構造ですから、講師は演習過程の要所&要所で介入し、コメントや質問を投げかけ、参加者個々が重要点に気づくように誘導&支援していきます。講師である筆者は細心の注意を払いながら、ヒントやコメントを提示するので、終了後は大きな疲労感を覚えます。どうしても、少人数(最大15名)でないと実施できないのが課題です。
3)論理思考力の高い参加者が参加すると
「構成概念の定義化」「質問文の作成」「評価基準の作成&分析活動」の3つの演習が本セミナーの山場です。この3演習で、学習所要時間の80%弱を占める設計です。演習では、何故そう考えるのか、どう組み立てていくのかといった思考訓練を繰り返し&繰り返し行います。クタクタになり、参加者の皆さんが疲労困憊になっていく様子が、講師の目からも手に取るように分かります。
しかし、今回の参加者の皆さんはクタクタになりながらも上手くポイントを抑え、自分たちなりの解を導いておられました。普段から量的調査を業務として実施されておられる参加者が2名、再受講制度を利用して2回目の参加者が1名、筆者がコンサル支援させていただいた組織からの派遣参加者が1名という、普段以上にスキルと意識の高い方が偶然にも今回多くご参加いただきました。それが幸いしているように感じました。
以上
開催日 | 2016年11月17日(木) 10:00~18:00 |
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開催概要 | 研修の効果測定で多用される「自由記述式アンケート」の設計と分析方法についての基本的な考え方を2日間で学ぶ、学習分析学会の定番コースです。 本コースの進め方は、教育効果測定の基本講義を踏まえた後、自由記述型アンケートの分析演習を行い、この分析結果を題材として、分析結果をばらつかせる主たる原因を検討します。ばらつき原因の是正を行うために「アンケート定義書」を用いたグループ演習を繰り返し行います。演習を通じて、調査についての基本的な考え方や測定領域の設定、質問文の作成、解釈基準の設定という主要なスキルを強化していきます。 本コースのメイン演習は「質問文作成」とサンプルデータを用いての「評価基準づくり」と「分析」です。 【開催日時】 1日目:2016年11月17日(木) 10:00-18:00 (開場9:30) 2日目:2016年11月18日(金) 09:30-17:30 【主な学習項目】 <1日目> ★オリエンテーション (10:00開始) 1)教育効果測定の基本と調査方法の概要 2)アンケート分析演習(個人) 3)分析結果のバラツキの発生原因 4)アンケート調査の実施手順 5)アンケート調査の実施目的の整理 6)アンケート定義書 7)データ収集領域の整理(構成概念の定義化) ★初日の振り返りと明日の予告 <2日目> ★初日の振り返りと2日目のアウトライン(9:30開始) 1)質問文の作成 2)評価基準の作り方と分析手順 3)評価項目&基準の作成とデータ分析-1 4)評価項目&基準の作成とデータ分析-2 5)評価項目&基準の作成とデータ分析-3 6)プレコーディングとアフターコーディング 7)その他の留意事項 ★まとめ&質疑応答 【事前課題】 以下の2つの課題に対するあなたの考えを整理して、ご参加ください。事前提出の必要はありません。 <課題1> 研修満足についてお尋ねします。皆さんが提供された研修を受講し、参加者の方々が、どのような状態や気持ちになることが研修満足であるとお考えですか? <課題2> 研修の良し悪しを判定するために、あなた(あなたの所属する部門)が現在用いている「評価項目」や「評価基準」「判定のポイント」「解釈ルールや原則」などを書き出してください。 【参考書籍】 『教育効果測定の実践‐企業の実例をひもとく』 ¥2,800+税 堤宇一(編著)、木村覚、早川勝夫・柳美里、和田修一(著) 日科技連出版社 【写真等記録情報の使用許諾のお願い】 小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。 小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。 |
学習目標 | 自由記述式アンケートの設計と実施手順を理解し、妥当な分析ができるようになるために、以下に示す6つの学習目標を達成する。 ■アンケート調査で不具合を発生させる3つの主要因を自分の言葉で説明できるようになる。 ■アンケート定義書の記載項目に沿って必要な内容を整理できるようになる。 ■調査目的に合った測定領域と測定対象(構成概念)を定義できるようになる。 ■調査目的を満足させる有効な回答を得るための質問文が作成できるようになる。 ■プレコーディング調査とアフターコーディング調査、それぞれの特徴(長所と短所)を自分の言葉で説明できるようになる。 ■サンプル・テキストデータとガイドラインを用いて、研修を評価するための項目と基準を作成できるようになる。 |
参加対象者 | 本セミナーは、以下に示す業務範囲や能力を有する方を、主対象として企画されています。 ◆人材育成に携わり研修企画や改善業務を行っている人。 ◆研修評価アンケートを実施し、その分析結果を研修改善に用いている。しかしながら、アンケート調査の方法について、体系的に学んだ事がなく、アンケート業務に対する不安を抱えている。 <前提知識> ■研修の設計・開発の経験があること。あるいはベンダーと共同で研修の設計・開発・改善をおこなった経験がある。 ※研修テーマを講師や教育ベンダーに伝えて、実務は丸投げ的業務しか経験のない方や研修の運営業務しか経験のない方は不適格です。 ■自由記述式のアンケートを自分なりに工夫し作成し、それを用いて研修評価を行った経験がある。 ■事前課題を実施し、参加できる。 |
講師 | NPO法人学習分析学会 副理事長 堤宇一氏 |
会場 | 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S2会議室 千代田区神田小川町3-22-14 https://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html |
定員 | 12名 ※最小催行人数4名。 開催1週間前に、お申込数が最小催行人数に満たない場合は、開催を中止させていただきますので、予めご了承ください。 |
参加費 | ■会員:35,000(税込) ■非会員:40,000(税込) ■再受講(会員&非会員):10,000(税込) ※再受講とは、「繰り返し学習」を支援するための制度です。以前受講したセミナーを、さらなる理解を目的に繰り返し受講することをさします。 ※再受講参加者は、ティーチングアシスタントとして、初学者の参加者の学習サポートにご協力ください。他者の学習をサポートすることで、より深い学びを実現する事ができます。 ※再受講希望の方は、申込フォームのコメント欄に「再受講」とご入力ください。 |
支払い方法と領収書発行 | ■支払方法:当日会場受付時に現金支払を原則とします。 ■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申し込みフォームの領収書欄に「宛名」をご入力ください。入力いただきましたお宛名で用意いたします。 |
キャンセルについて | 申込後のキャンセルは、早めにご連絡ください。(連絡先:info@jasla.jp) 開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。なお、キャンセル料に関しては、後日請求となります。 ・開催5日前~3日前のキャンセル料は、参加料の50% ・開催2日前~当日のキャンセル料は、参加料の100% ・連絡なしの不参加は、参加料の100% |