会長挨拶
教育・学習・研修の分野では、学習者は与えられた教科書や教材を読むだけではなく、問題を解く・ほかの学習者と議論し共有する・成果を報告する、といった活動を通して、より深い理解が得られます。従来の紙媒体を用いた学習でも、こういった活動に関する情報の収集や分析は行われてきましたが、手書きの情報をパソコンに入力する手間が大きく、一般には普及していませんでした。近年、学習者が使うパソコンやタブレット端末を通して、学習活動の履歴情報を自動的に収集し、分析する手法が注目されています。これがLearning Analytics (LA)と呼ばれるものです。履歴情報の自動収集技術だけでなく、統計処理の手法やツールが発達し、またビッグデータ解析手法の適用も検討されており、分析技術も発展しています。しかし、この情報をどういった目標に向けて分析し、有用な知見を引き出すかといった、標準的な手法はまだ定まっていません。これに対し、国際会議などで各国の研究者がさまざまな提案や議論を行っているところです。LAの適用先として、学習者の状況や習熟度に応じた個別学習の支援(学習者の認知的側面からの支援)、教員の授業方法の改善支援、また学校評価やIR (Institutional Research) などがあります。
さらに、最近では生体計測情報等の、より粒度の細かいデータをよりどころにして、学習者の心的状態の推定等、情動的側面からの支援、センサー情報等を用いた学習者のスキル面の理解や熟達化の支援(技能面からの支援)に関する研究・開発も活発になってきました。
本会では、研究会やセミナー等のイベントの実施や論文誌の発行を通じて、学習活動の履歴情報に対する収集や分析方法、またそこから得られる知見を、会員のみなさまと共有したいと考えています。これにより、現在進められている教育の情報化がより効果の高いものとなり、今後の「より良い学び」を促進するものと考えています。本会は研究者のみならず,産業界,実践現場の方々との密なコラボレーションを基本としております。多くの方々のご参会をお待ち申し上げております。
学習分析学会理事長 松居辰則
※ご参考までに、Learning Analyticsに関する概況を紹介した、本会の前理事長によるスライドが以下にあります(2015年7月29日 Asuka Academyセミナー)。Learning Analyticsに関する普遍性の高い内容となっておりますので、現在でも参照性は高いものとなっております。
Learning Analytics とは
教育・学習・研修の分野では、学習者は与えられた教科書や教材を読むだけではなく、問題を解く・他の学習者と議論し共有する・成果を報告する、といった活動を通して、より深い理解が得られます。従来の紙媒体を用いた学習でも、こういった活動に関する情報の収集や分析は行われてきましたが、手書きの情報をパソコンに入力する手間が大きく、一般には普及していませんでした。近年、学習者が使うパソコンやタブレット端末を通して、学習活動の履歴情報を自動的に収集し、分析する手法が注目されています。これが Learning Analytics (LA)と呼ばれるものです。履歴情報の自動収集技術だけでなく、統計処理の手法やツールが発達し、またビッグデータ解析手法の適用も検討されており、分析技術も発展しています。しかし、この情報をどういった目標に向けて分析し、有用な知見を引き出すかといった、標準的な手法はまだ定まっていません。これに対し、国際会議などで各国の研究者がさまざまな提案や議論を行っているところです。LAの適用先として、学習者の状況や習熟度に応じた個別学習の支援、教員の授業方法の改善支援、また学校評価やIR (Institutional Research) などがあります。
本会では、研究会の実施や会誌の発行を通じて、学習活動の履歴情報に対する収集や分析方法、またそこから得られる知見を、会員の皆様と共有したいと考えています。これにより、現在進められている教育の情報化がより効果の高いものとなり、今後の「より良い学び」を促進するものと考えています。
ご参考までに、Learning Analyticsに関する概況を紹介したスライドが以下にあります(2015年7月29日 Asuka Academyセミナー)。