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インストラクショナルデザインの基礎コース-研修の企画と改善

 小会定番セミナー「IDの基礎-研修の企画と改善」を開催いたしました。8名の受講者が参加されました。本セミナーの企画開発&インストラクションを務めました堤が活動内容をレポートさせていただきます。

活動レポート:学習分析学会 副理事長 堤宇一

業務に直結する能力開発の専従者が参加

 ここ数年の参加メンバーの特徴どおり、今回も企業の人材育成担当者は2名(25%)、研修会社のコンテンツ開発者&営業担当者が6名(75%)という割合でセミナーを開催いたしました。

 

初日は、ID理論を愚直に適用

 初日はIDの原則を学び、その理論を簡単な事例に一つ一つ適用しながら架空の勉強会の設計書を組み立てます。「市場ニーズを分析し、何処を学習ゴールにするか」「教えるべき事項は」「教える順番や方法は」といった研修開発の要をグループ演習で整理します。愚直に、そして徹底的にID理論と適用方法を、体験を通じて学びます。
 IDの要は「明確な学習目標」を設定することです。原理原則を正しく理解したかどうかを確認するには、シンプルな課題が打って付けです。問いがシンプルすぎて、余計な事まで考え過ぎたり、指示されていないことをやりだしたりと大半の参加者が学習目標の明確化演習に手こずっていました。「今まで自分が行っていたことと大きなずれが無く安心した」「研修開発のプロセスが理解できた」「IDの重要性や効果等を理解できた」など様々な感想が受講者の間で飛び交っていました。
 どちらの受講者にも共通する感想は「こんなに一生懸命考え、悩んで研修を設計した経験は初めて。とっても疲れた!」ではないでしょうか。

 

二日目は、ID理論を現実の場に適用

 二日目は、初日に徹底的に学んだIDを実際の場面に適用するための考え方やコツをつかむことです。二つのケース演習を行いました。午前中は、組織不活性という問題を抱えた支店を蘇らせるために、研修を用いて支援する事例です。何を解決課題として設定し、研修が目指すゴールと解決範囲を何処に設定するのを検討し、具体的な研修を設計していきます。各グループが設計した研修をプレゼンし、他グループからそれに対するフィードバックをもらいます。具体的なフィードバックポイントは「設定された学習ゴールの妥当性」「研修がカバーする責任範囲の妥当性」「研修の効果期待性」「ID理論の適用具合」などです。解決課題と研修を結びつけ、有効な研修をデザインするためのポイントを掴んでいただきます。

 午後の演習は、既に行われている研修の問題点を特定し、どのように改善を進めるのかを考察する事例です。研修をIDの観点からチェックし、不具合発生原因を見つけ、適切な対策や改善策を検討していきます。IDを用いることで、研修の評価を網羅的に行うことが可能になります。講師話法の巧拙以外に、研修品質に影響を与える要因を合理的に発見するためのポイントを掴んでいただきます。

 

良い研修が沢山供給されることを期待して

 本セミナーは研修開発のプロたちが参加し、IDを学んでいます。専門性を有したプロが“本物の良い研修”を沢山提供する世界を実現するために、本セミナーの開催を続けていこうと思います。

以上

開催日 2018年07月26日(木) 9:45~18:00
開催概要  企業内で人材育成や研修業務に携わる方々への期待は、事業戦略を効果的に実行するための人材供給あるいは、従業員の能力開発の効果性を高めることといえるでしょう。それらの役割期待に応えるには、研修企画者(発注者)として、学習理論や事実に基づいた能力開発施策の企画を立案し、専門家(講師や教育企画会社など)からの提案やアイデアを合理性を持って検討、判断するための知識や技術を磨くことが必要になります。
 本コースは、インストラクショナルデザイン理論(以下、ID理論)の本質的な考え方や重要事項の理解、それを実践に適用するための思考方法と留意点の獲得を狙いとしています。コース初日は、講義と小演習、全体演習を通してID理論の基本原則を掴みます。2日目は、2つのケース演習(研修開発の事例演習&研修改善の事例演習)を実施し、研修企画や改善をすすめるための実践力を強化します。

【開催日時】
 1日目:2018年7月26日(木) 9:45-18:00 (開場9:10)
 2日目:2018年7月27日(金) 9:30-16:30 (開場9:10)

【学習項目】
<1日目:ID理論の基本知識>
 1.パフォーマンス向上と研修(研修の効用と限界)
   研修の実施目的
   パフォーマンスの低減要因

 2.インストラクショナルデザイン(ID)の概要
   IDの定義と研修設計のシステムアプローチモデル(ADDIEモデル)
   研修設計&開発の全体概念モデル
   ニーズ分析・特定
   学習目標の明確化の3要素
   学習成果の分類(タキソノミー)
   学習者・コンテキスト分析・前提条件
   評価(学習目標到達の保証:事後評価テスト、評価の種類)
   学習項目の構造化(学習内容の洗出し)
   学習目標の系列化(学習の順序)(学習時間の見積り)
   指導方略(手段・展開・環境/ガニェの9教授事象)
   学習モチベーション(ARCSモデル)

<2日目:IDの実践力強化>
 3.総合演習(ID理論の活用実践力の強化)
   1)研修企画演習:「研修企画概要書」を用いてIDの観点から研修を企画する
     「神戸支店を蘇らせろ 会議の活性化施策」
   2)研修改善演習:「IDチェックシート」を用いてIDの観点から研修の問題点を探る
     「8割の参加者が意識を失う データリテラシー講座」

【参考書籍】
 「教材設計マニュアル-独学を支援するために」 鈴木克明著 北大路書房
 「教育効果測定の実践 企業の実例をひも解く」 堤宇一編著他 日科技連出版社

【申込受付の締切】
■受付終了:2018年7月20日(金)14:00
 ※ただし、申込人数が定員数に達した場合は、受付終了日時を待たずに受付を締め切ります。

【写真等記録情報の使用許諾のお願い】
 小会では、広報活動及び会員サービスの向上に活用するため、ビデオ撮影、音声収録、写真撮影、受講アンケートを実施しています。これら映像、音声、画像、コメント(以下、記録情報)は、小会の関わるWebコンテンツ及び紙媒体の配布資料等に活用させていただく可能性があります。
 小会活動へのご参加は、記録情報の活用にご承諾いただけたものとさせていただきます。
学習目標 1.与えられた事例に対して、「研修企画概要書」を用いてID理論に則り、最適な研修を企画できるようになる(知的技能)。
2.与えられた事例に対して、「IDチェックシート」を用いてID理論に則り、合理的な改善点や改善策を整理できるようになる(知的技能)。
3.学んだID理論を自分が企画する研修に活用したくなる(態度)。
参加対象者 本コースは、企業内研修に関わる方々を主要対象としており、以下に示す業務経験ならびに業務権限を有していることを想定して開発されています。
以下の条件を参加の前提条件とします。

■担当する研修を持ち、自分の意思で研修の改訂活動が行える権限を有してる。
■教育ベンダーや担当講師に研修の内容や方法に関する指示や依頼、打合せなどを自身の業務として行っている。
■研修開発を実施した経験を有している。 ※集合研修の開発経験ならば、さらに良い。
講師 NPO法人学習分析学会 副理事長 堤宇一氏
会場 明治大学 駿河台校舎 紫紺館 S3会議室
千代田区神田小川町3-22-14
https://www.meiji.ac.jp/koyuka/shikonkan/copy_of_shikon.html
定員 15名
※最低催行人数:4名。 開催1週間前までにお申込人数が、最低催行数に満たない場合は、中止とさせていただきます。 予めご了承ください。
参加費 ■会員:45,000(税込)   ■非会員:50,000(税込)
■再受講(会員&非会員):10,000(税込)
 ※再受講とは、「繰り返し学習」を支援するための制度です。以前受講したセミナーを、さらなる理解を目的に繰り返し受講することをさします。
 ※再受講参加者は、ティーチングアシスタントとして、初学者の参加者の学習サポートにご協力ください。他者の学習をサポートすることで、より深い学びを実現する事ができます。
 ※再受講希望の方は、申込フォームのコメント欄に「再受講」とご入力ください。
支払い方法と領収書発行 ■支払方法:当日会場受付時での現金支払を原則とします。
■領収書発行:領収書をご要望の方は、お申込みフォームの領収書欄に「領収書の宛名」をご入力ください。入力いただいた“お名前”で領収書をご用意いたします。
キャンセルについて 申込後のキャンセルは、早めにご連絡ください。キャンセル規定は以下のとおりです。
開催の5日前より以下のキャンセル料金が発生いたします。なお、キャンセル料に関しては、後日請求となります。
 ・開催5日前~3日前のキャンセル料は、参加料の50%
 ・開催2日前~当日のキャンセル料は、参加料の100%
 ・連絡なしの不参加は、参加料の100%